卒園アルバムとプロジェクトマネジメント

卒園アルバム作成プロジェクトを無事完了させた いしかわ です。
開発にはあまり関係ないかもしれませんが、プロジェクトマネジメントに強引に関連させて書きたいと思います。

ちょうど1年前、子供が年長になったとき、自分の嫁が「保護者会の副会長まかされちゃったー、でも卒園式の時に目録読むだけっぽいから、まいっかーと思って」と言ったのが始まりであった。

この時は何も気にしていなかったのだが、ある日、緊張した面持ちの嫁が言ってきた。どうやら保護者会では毎年卒園アルバムを作ることが慣例となっているらしい、保護者会の会長から相談されたというのだ。

いやどうも!(茨城弁で「あらま!」みたいな意味)

うーむ、適当にごまかして、嫁と会長に任せても良いが、炎上してから助けを求められて鎮火させるのも面倒である。どうせなら最初からマネジメントし、必要最低限のコストでプロジェクトを着陸させたほうが良いだろう。そう考え、私は保護者会の会長と相談し、そうそうに卒園アルバム作成プロジェクトを立ち上げた。

1.顧客の期待値コントロール
まず初めに訪れるのは、顧客である保護者の期待値コントロールである。私の場合、この期待値コントロールの部分で助かった部分があった。

ここ数年の卒園アルバムはプロ等が作成したのではなく、素人である保護者の卒アル担当者が作成していた。そのため「お兄ちゃん、お姉ちゃんの時はこんなアルバムだったよー」と見本が共有されたのだが、あくまで保護者が作成したものであるため、プロの品質ではない。当然、その卒園アルバムを見た保護者達は「なるほど、なるほど、こんなアルバムが出来上がるのね」と、その水準で期待をしたのだ。
その期待と同等レベルか、少し上の品質であれば、期待から大きく外れることはなく、納品、検収時に「思っていたのと違う!」という問題を起こすリスクが少なくなるため、この点で私は非常に助かったのである。

逆に、つらいなーと思ったのは「前年度は3000円位で作成したみたいー」と早々に価格が共有されてしまったこと。(ママさんたちの情報共有能力は非常に高いw)
調べてみると、1冊3000円というのは、ほぼ最低価格に近く、撮影から入稿までが自分たちで行う必要がある料金帯。さすがに3000円という情報が先にイメージとして刷り込まれた後に、1万円等のプランを提案することは難しい。幸いにも、私は自分で撮影、デザイン、入稿まで行おうと思っていたので、何とかなった。しかし、それなりの技術力、時間がない場合は難しいので、予算の期待値に関しては、プロジェクト開始早々にコントロールしたほうが良い。
具体的にどのようにするのか?というと、
・カメラマン、デザイナー付きだと〇万円。
・写真は自分たちで撮影するが、原稿作成はデザイナーさんが調整するなら〇万円。
・写真も現行作成も自分たちなら〇万円、しかし誰がやるのか?
などなど、最初に高いプランをイメージさせておくと、後から下げることは楽になる。

2.プロジェクトメンバーを見つける
卒園アルバム作成プロジェクトではいくつかの作業が発生するため、作業単位でメンバーを分けることが可能だ。
具体的には、以下のような感じである。
・写真撮影をするカメラマン
・写真を選定、配置するデザイナー
・予算の徴収、入出金管理をする会計係
これらの役割でやる気があるメンバーを招集することが重要。「ちょっと暇だからやってみようかな~」という程度では、かえってプロジェクトが混乱してしまうので要注意。

・カメラマン
カメラマンに関しては、大きめの一眼レフを持っているお父さんにお声掛けするのが良い。(撮影が好きなので結構協力的だと思う。)通常の小型カメラやスマートフォンでも撮影できないこともないが、どうしても園内は暗いため、それなりのレンズがないと撮れないシーンは多くある(学芸会など)。また、複数の角度からの写真から選べることで、卒園アルバムが単調になることを防いでくれるという側面もある。運動会などでは撮影できるタイミングは一瞬のため、最低でも2名、可能なら3名体制で挑みたい。
人数が多ければよいのでは?とも思うかもしれないが・・・、実はそうでもない。カメラマンが多いと写真の枚数も増えるので選定作業が地獄のようになってくる。私のケースでは、2名のカメラマンで動いていたが、運動会の写真は4000枚近く。。この中から良い写真を見つけ出すのは一苦労。これが人数が増えると、どんどん選定枚数も増えてくる。早い段階で撮影と選定のバランスを見て、足りないようであれば少しずつカメラマンを増やせれば一番良いかと思う。

・写真の選定
写真の選定、配置については私1人に任せてもらった。
メリットとしては、同じ目線で写真選定、配置ができるため、卒園アルバムを通して統一感を出すことができること。デメリットはもちろん、作業負担が1人がかかること、担当者の腕が良くない場合、全体の品質が落ちることである。ある程度の腕がある、自身がある方がいるのであれば、お任せしてしまうのは悪くない。

・予算の徴収、入出金管理
予算管理も担当がいると楽ではある。収支報告書の作成や、徴収の段取りなどが必要となる。
私の場合は3000円だったため、卒園アルバムを手渡すときに、そのまま徴収する形で済ませることができた。

3.未知数であれば、早めに一度やってみる
お兄ちゃん、お姉ちゃんの時に卒園アルバムを作っており、今回は2回目だ!というのであれば別だが、多くの人は初めての挑戦のはず。写真をたくさん撮りためて、年明けあたりから卒園式までに一気に作成する!と思いたいところだが、これは避けた方が無難・・・。実際にやってみないと分からないことは沢山ある。集めたはずの写真が、解像度が足りず入稿できなかったり、思いのほか作業に時間がかかり徹夜続きになってしまったり、特定の園児の写真が極端に少ないことに後から気づいたりなどなど・・・。

おすすめは、春のイベントが行われたらすぐにそのイベント分の数ページを作成してみること。写真の撮影、他のカメラマンからの写真データの受領、選定、加工、原稿への配置をとにかくやってみる。これらの一連の流れを通してみることで、注意点、修正点が見えてくる。それらを次の夏のイベントにつなげればより品質の高い作業が行える。こうやって、毎回の作業をPDCAとして回せば、リスクは低減され、品質は向上していく。

4. 目標達成のために高い視点から眺める
卒園アルバム作成は1人で行うものではない。多くのステークホルダーが関係し、前向きに協力してくれる。卒園アルバム作成を担当したメンバー自身もそうだし、メンバーの配偶者、家族、友達に助言を求めることも可能である。今回の卒園アルバム作成で、いくつか良かったと思える戦術的な部分があったので共有する。

・園の先生方に協力を仰ぐ
もちろん、先生方は勤務時間内に積極的に参加することは難しい、先生という自分の仕事をしっかりとこなす必要があるためだ。しかし、園でもイベントごとに撮影を行っており、データのコピーをいただくことは可能かもしれない。そんなことが出来れば、保護者参観や、各種イベントでは見れない日常的な活動を卒園アルバムに含めることが可能になるので、ぜひ相談してみてもらいたい。

・身近なレビュー者
卒園アルバム加工後の原稿を自分の家族に対してレビューし、客観的な目線から評価してもらうことができた。どうしても、1つの作業に入ってしまうと視野が狭くなり、偏った成果物となってしまう。それを補うためにも、すぐ近くにレビューしてくれる人を確保できれば、大変助かることこの上なし。

5.最後に
ここまでいろいろ読んでいただくと「なんだか大変そうだなー」と思われるかもしれないが、それ以上に大きな喜びもあった。

例えば、作成を通して園児たちの1人1人の姿を、いろんな目線で知ることができ、それぞれの個性に触れることができた。アルバム作成を担当しなかったら、ここまで触れることは出来なかっただろうと思う。また、そのおかげで自分の子供との会話も楽しくなるといった側面もあった。
そしてもう1つは、やはり完成した卒園アルバムを見ていただいた保護者や関係者の方々の嬉しそうな笑顔。やっぱり自分の創ったものが、評価されるっていうのは素直にうれしいし、また1つ成長出来たかな、とも思った。

そんなこんなをだらだらと書いてみたけど、全体のプロジェクトマネジメントは大切。コスト、スケジュール、品質をきちんと管理しなければ、卒園アルバム作成プロジェクトといえども、大炎上することもたくさんある。
きっちりとマネジメントを行ってもらい、関係者全員が充実した期間を過ごしてもらいたいと思いを込めて、この記事を締める。

それでは、良い卒園アルバムが完成しますように!

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